2022-01-01から1年間の記事一覧

文フリ東京35 訪文

文学フリマへ行くのは久しぶりで、天空橋から浜松町行きのモノレールへ乗り換えると、座席が通常の二条式鐡道とは異なる配置であるため、非日常の車内暖気がやわらかく私の周囲へ漂いだし、ああこれからモノレールで流通センターへ向かうのだな、そしてあの…

10月はお休みします

月例報告で休みがあるとそのうち季刊、年刊、不定期刊行と間が空きはじめ、やがて更新が途絶えるのが世の常ひとの常である。そも人生自体、その人の精神と肉体の定期刊行の断絶によって完結するのだから、エタるのは摂理であり決して恥ではない。 それはとも…

SF短編『果樹園』

俺たちの独房。四畳ほどのうなぎの寝床だ。奥に土間があってセラミックの便座と洗面台が据えつけてある。窓は不透過シートで覆われ、外がどうなっているかはわからない。 虜囚である俺の日課は果樹への水やりだ。朝、日の出間近になると独房の鍵がはずされる…

8月

毎日暑すぎる。 クチクラの層を貫く愛情かゆくみちみちてムヒの日

便所短編『Hey Siri!』

pixivのトイレットSSコンテストから削除したSSを再掲。 今後も月イチくらいで過去作をHDDの澱からかき集めようかなと思案中です。 「ヘイ尻!」 俺の呼びかけに応じて便座の後ろに設置された超高性能デバイス〈尻〉が起動した。 〈洗浄中〉のLEDが点灯し、ペ…

ブログを書くにんげんになれ

ブログを書く人はえらいと思い、ブログを書いてみる 骨壺の底へかさねし椎骨の粗熱こもるる祖母のあこがれ 徳用のクリーム重ねしくるぶしの割れた肌理が田畑に似ている 曠野往く水辺にごりて毒蛾群れ鱗翅学者の夜は其処此処 我にもし蚯蚓集めの甲斐あらば娘…